2014年11月7日金曜日

UIデザイン

ほりうちさんブログの UIデザイナー云々 を読んでみて、そんな議論あるのか と思ったので、開発者ではあるが私なりの思いを書いてみようと思う。

UIデザインが必要か不要かと言われたら、そりゃ必要だと思う。
不要と言えるのは、コマンドラインで叩いて実行するプログラムだろう。
ただ、求めているレベルには差があり、その議論なのだとは思う。

例えば、「暖かい服が欲しい」と思った時の選択肢に、1,000円の服もあれば、5万の服もあるように。
どちらも要求は満たせているけど、使用している素材は違うし、裁縫も丁寧さも違うし、もちろんデザインも違う。
デザインというのは、ぱっと見た目の話だけでなく、着心地を良くするために立体裁断しているかもしれないし、それにより人の手でないと作業できない部分が増えているかもしれない。

ユーザからすると、5万のものがそりゃ欲しい。
その良い物が1000円で変えるとそりゃそっちの方がいい。

洋服だと値段の差は当然ですが、アプリなどのプログラムだとちょっと違う。
洋服は服を売ることによって売上になるけど、アプリはそのモノを売ることによる収入とは限らない。Yahoo BB!がルーターを無料で配ったように。


問題なのがメーカーの立場。

"いいもの"を作るにはどれくらいの時間/お金がかかるだろうか? が分からない
さらに、
"どれくらいいいもの"を自分たちで作りたいのかが分からない

そもそも、最初からわかったりしない と私は思っている。
なので、最初に概算の見積が欲しいとなる案件は、あまり力をいれようとしてない感じを受ける。

最近、iPhoneアプリをちょこっと自分用に作った。いわゆるオレオレ便利アプリ。
それは3時間くらいで完成した。

せっかくなら、それをStoreで売ってみようか と思い、人々がわかりやすい構成にするよういろいろ模索したのが、2日かかった。
ここは別画面にしようか...この2画面は1つにしようか....画面の流れはここを逆にしよう...などなど。
2日かけたが、まだ違う気がして結論は出ていない。たった3画面のシンプルアプリなのに!
(ちなみにこの時点で装飾系のデザインは全く入っていない。)

普通は複数人でプロジェクトを行うと思うので、みんなで考えるとすると、工数は 2日 × 人数 となるだろう。

さらにもっと模索するのであれば、どんどん工数は膨らんでいく。
どこまでいけば、納得するものになるのかは私にも分からない。

3時間でつくったアプリというのは、1000円のセーターどころじゃなく、ビニールシートをかぶって防寒したぐらいのものだ。10円くらいか?
でも、この10円でいい と思う人もいるだろうし、1000円かかってもいいからちょっとマシにしたいと思う人もいるだろうし、もっと払ってもいいからもっと追求したいという人もいるだろう。

これは選択肢であって、どれを選択してもアリだと思う。

ここで活躍するのはUIデザイナーなのだろう。
いろいろなパターンを知っていて、引き出しも多く、最短な提案をいくつかしてくれる。
結果、かなりの工数を削減できるし、良いモノが早く出来ると思う。
もちろん、最初から結論がでるはずはないので、その提案からみんなでドックフードを食べていくのだが。

ここで思うのは、

受け手側にもそれなりの知識/判断が必要

ということ。

「この2つのどちらがよさそうか?」の選択は簡単だが、
「ここにまだ違和感がある。まだいい方法考えられないかな?」 と言えるのは難しい。
アプリ開発だと、実際動くものを手にしてみないとよく分からないことも多々ある。
たくさんいいモノをみて、感覚を研ぎ澄ましておく必要もある。

さらにむずかしいのが、納得いくまでもっと考え続けるのかどうかという決断。
iPodを世に送り出したジョブスのように。。。

いい人を雇えば、あとはお任せしていたらOK なんてことは無い。

どうして私はいつも画面構成を考えるのにこんなに時間がかかってしまうのだろう...とよく落ち込むが、海外の良いアプリでは「 構成を変えたプロトを数十個作って端末にいれていた」という話もちらほら見た。みんな時間かけてるんだ!近道はない!
(と自分を納得させている)

「日本ではいいデザインのアプリがない」という系の話を聞くと、「日本の家電のようだな」と思ってしまう。
機能はいいのにデザインがイマイチ。
当たり障りのない白色が多くて、機能の数だけボタンがいっぱい並んでいて...。
機能部分、デザイン部分の担当者は違って、お互いの領域はプロだから口出ししあわないという雰囲気。
最初に見積もった工数以上のことはしない。という雰囲気。

”最初に期間、値段を決めて作業分担する” という、日本の下請け文化が悪影響を及ぼしているのは安易に想像できる。
発展途上のタイミングであればそれが効率がよく需要が高かったのは確かだが。

下請け文化問題は、開発業界ではもう長年言われ続けている問題。
お互いのリスクが少ない方法でもあるのでなくなりはしないのだろう。

UIデザイナーはいらない? 以外に、開発者はいらない?という話もよくある話。
実際、CMSは開発者がもういらない例ですよね。
サーバー管理者だって、レンタルサーバー借りたらもういらない。
どの業界だって一緒。
すべてのプロジェクトに、その道のプロが必要なわけでない。(お金がないならなおさら)

なにが重要で、どれだけお金をかけるといいか? というのは、最初からわかっていればみんな成功していると思う。

最初は最低限の機能を満たすことが重要になるので、デザイン系は確かに軽視されるのかもしれない。でも、それじゃ売れないなぁって分かって、あらためて重要さを実感するのかもしれない。
機能とプロダクトデザインというのは良い感じで融合が必要だと思うので、後でデザイン追加...というのは、装飾でしかなく、つまり日本家電化でしかないのだが。
ウォークマンの装飾をどう頑張っても、iPodにはならない。
(iPodはiTunesStoreの仕組みが背景にあるからこそあの形でもある)

まぁ、人によっては、売れるために、デザインでなく、もっと機能をいれたら...という発想になる人もいるだろうけど。....これまたちょっと日本家電発想っぽいですよね。

うむ。なんだか、やっぱり結論は当たり前に行き着くね。こういうの書くと...。

まぁ、少なくとも私は、
貧乏学生時代は、最安値のトースターを選んでいたけど、
今は、機能が少なく少々値段が高くてもデザインがいいトースターを選びますw


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