2016年11月2日水曜日

LLP-有限責任事業組合 について

Flask LLP を設立してからもう3年が経ちました。
この LLP-有限責任事業組合 についてあまり情報がないと思うので、これまでの経験を元に書いてみようと思います。

※ 私は専門家ではないので、間違いがあったらゴメンナサイ

LLP設立のきっかけ

よく聞かれるのですが、理由は2つあります

1. iOSのApp Storeの販売元の名前を、「Flask LLP」にしたかった
2. 個人事業主との兼業が前提

App Storeの販売元の名前を個人名以外にしたい場合には、法人用の開発アカウントを作成しないといけないのですが、その際に D-U-N-S Number が必要になります。
D-U-N-S Numberとは、全世界を対象とした企業識別コードです。
この番号を取得するには、企業として存在する証明が必要で、登記証明などを求められます。
※ 3年前だとLLPでもD-U-N-S Numberが登録できましたが、今も出来るかどうかはわかりません...。

ですが、自社のアプリ開発だけで生活できるお金は稼げないのは分かっていたので、個人事業主を兼業して内職する必要がありました。

で、パススルー課税が認められている LLPを選択したわけです。


LLPのデメリット

  • 法人格がない
  • 法人番号 をもらえない
  • 銀行口座がつくりにくい
  • クレジットカードが作れない
  • 提出資料が増える
  • 利益の分配率が自由に変更できない
  • 会計ソフトがLLPに対応していない
  • 情報が少ない

いやー、数えるとホントいっぱいあります。
口座作るにしても、会計書類について相談しにいくにしても、
は? LLP?
って所から始まります。

設立自体は書類を揃えるだけで簡単にで来てしまうので、オススメするサイトもありますが、私は正直オススメしません(笑)

LLP決算で必要な書類


LLP作成後どんな決算書類が必要なのか?
ちゃんとまとまっているサイトがあまりないんですよね。
最低限必要な書類は以下になります。


事業年度経過後2ヶ月以内に作成
  1. 貸借対照表
  2. 損益計算
  3. 附属明細書
特に提出する必要はない。
これらに基づいて損益の分配を行ったり、1月提出の書類を作る。


1月末までに税務署に提出
合計表はLLP全体のもの。
計算書は組合員毎に作成。


個人の確定申告時に一緒に提出
  1. 有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書
  2. 有限責任事業組合用の青色申告決算書

青色申告決算書は、LLPと個人の2つが必要ということです。
確定申告書Bでは、LLPと個人の合計したものを記述する必要があります。


組合員毎に作成する「***に関する計算書」や、LLPの青色申告決算書では、組合員の分配比率分の数値を書く必要があります。
たとえば、100万売上の場合、分配比率50%の人は50万とか。
(出資割合と損益分配割合を変えたい場合には更にややこしいことに)

つまり、会計ソフトがLLP対応していない限り、計算は自分でしないといけない。
LLP用青色申告決算書や、確定申告書Bは、会計ソフトで自動出力できない。
対応しているソフトあるんでしょうかねー。私は知りません....

ま、決算も結構たいへんなんだよということで。


LLPを運用する際のポイント

LLPをdisってきましたが、パススルー課税したい場合にはLLPしかないわけで。
これから作ろうとしている人に向けてのアドバイスなど。


銀行口座

企業から振込してもらう口座はやはり会社名がいいですよね。信用的にも。
ゆうちょ銀行で、名前を フラスク有限責任事業組合 で作成ができました。
但し、住所のところに、住所 + 代表者名 が記載されます。
クレジットカードは作れませんでした。

しかし、経費の引き落としを考えると、やっぱりクレジットカードがあると便利です。
が、LLPで法人カードが作れるかどうかは不明。さらに、開業後3年以上で黒字が続いているなどの制限もあってハードルがあります。

でも個人用のクレジットカードは、口座名義が同じ個人名でないと作れない。
なので、個人名義の口座を別途作って、クレジットカードを作ってしまうのが楽そうです。


決済期間

LLPでも設立時に決済日を決めることができます。
ですが、個人事業主と同じく 01/01 - 12/31 がオススメです。

Flaskは7月決算にしていたのですが、そうするとfreeeやMFクラウドなど、クラウド会計サービスで計算しにくくなります。

LLPの決算書類は青色申告書なので、個人事業主用の帳票出力が必要。
ですがクラウド会計の個人事業主用は、01/01 - 12/31固定で変えられない。
法人用は決算月を変えれるけど、青色申告書がでない。(まぁ出てもそのままでは使えないけど)
...というジレンマに陥ります。
法人用の値段設定は高いので、個人事業主用で運用できればその方がいいと思うわけです。


組合員

LLPは組合員が2名以上で設立できますが、この組合員を慎重に選ぶのが大事。
その年の貢献度などにより損益分配割合を変えたくなったり、途中加入、途中脱退があったりするとまた面倒な計算が必要になります。
ちょっとしたブレを、お互い許容できるような間柄でないと、破綻しそうに思います。
もう、そうなったらLLP解散して新しく会社作るなりしたほうが良さげな....


最後に

海外のLLCはパススルー課税なのがうらやましい。早く日本もそうなって欲しいもんです。
そして、LLPだけで生活できるような目処がたったら卒業するんだ...


• • •